空と風のうたブログ
読書記録(BL&非BL)、ゲームの感想など。
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檻の中の楽園。
2006年06月24日 (土) 23:05 | Edit
[書籍概要]
タイトル:檻の中の楽園。
著者:六堂葉月
イラスト:笹生コーイチ
出版社:ワンツーマガジン社(アルルノベルス)
発売日:2006/07/01
収録タイトル:「檻の中の楽園。」 「彼という名の海。」

[あらすじ]
選び抜かれた御曹司たちだけが集う、エーゲ海の島『エリュシオン』。その若きオーナー・美王唯杜は、日本屈指の名家の子息・中垣嘉仁と出逢う。他の御曹司たちを拒む嘉仁の冷たい態度に、最初は唯杜もただ戸惑うのだが、日本人離れした嘉仁の深い青い瞳が湛える悲しみの理由を知って、どんどん嘉仁に惹かれていく。だが――嘉仁は唯杜の身体を残酷な取引で弄び…!? 紺碧の海の楽園で、孤独な心がふれあい見つける、真実の愛の物語。

[感想]
「檻の中の楽園。」
世界的リゾート財団・美王グループの御曹司・唯杜と京都の名家である天神家の御曹司・嘉仁。表面的には恵まれていても、お互い心に深い哀しみを抱えています。唯杜は、美王グループの利益になる行動以外はできず、父の言いなりに後継者として振る舞うしかできない、生まれた時からそう育てられた唯杜は、そんな風にしか生きられなかったんですね。本当は後継者としてでなく息子として父親に愛して欲しい、それでも唯杜は父を愛しているから、自分の宿命を諦めと共に受け入れている。周囲からも自分からも相手を個人として見ることのできない環境を苦く思いながら……。一方の嘉仁は、正妻の子でないため母親と共に天神家の人間からの敵意に囲まれながら生きてきました。望まないままに強引に当主の愛人にされた母親と二人、常に監視され、母親が亡くなった後も天神家に縛られ続け、それでも嘉仁に出来る精一杯で天神家に反抗して……。そんな二人が、エリュシオン(楽園)という名の檻の中で出逢い、惹かれあっていくお話です。
唯杜と嘉仁、両視点でお話が進むので、お互いが考えていることが解るのは良いのですが、とてもじれったい二人でした。
全てを拒む嘉仁が馬に向けた優しさ、それに応えて嘉仁に甘える馬……その光景を見た唯杜は、無視されても冷たくされても本当は優しい人なのだと嘉仁に惹かれ声をかけ続けます。そんな唯杜の態度に戸惑い、なおも周囲を煽りわざと揉め事を起こし――それがきっかけで、二人はある取引をします。「お前が俺のものになるなら、今後一切問題は起こさない」という取引を。了承した唯杜はそれから嘉仁に抱かれ続けることになりますが、唯杜にとってはそれは取引ではなく、今まで自分の意志などない人生を送ってきた唯杜が初めて自分から知りたいと思った嘉仁の心に触れたいからでした。身体を重ねれば、少しは心の距離が近くなるのではないかと思ってそうしたんですね。取引を持ちかけた嘉仁も、今までと変わらず接してくる唯杜にますます心乱されていきます。
この取引は結局、二人の間の距離が更に広がり溝ができていく結果になってしまうんですけど……。そうなってもなお、身体を重ねることしかできない二人が哀しいです。とにかく言葉がないんですよね、この二人には。お互い惹かれていても、お互いが心に抱える哀しみが解っても、生まれ育った環境が本心で語り合うことをできなくさせている。だから身体に逃げてしまう。そうしてその関係がなくなった時には……。
本当にラスト近くまで、常に「別れ」を意識していて「二人一緒にいる」という選択はなくてどうなることかと思いました。ラストは色々と問題の残る展開でしたが、二人にとっては一番良かったのかなと思います。まあ、その辺は続編の短編「彼という名の海。」で……。

「彼という名の海。」
全てを放り出して檻の中から飛び出した唯杜と、天神家という檻の中から解放された嘉仁の3年後のお話です(本編終了から3年後)
二人で暮らし、二人で経営コンサルタントの仕事をしている唯杜と嘉仁です。思い切りラブラブしてます(笑)
そんな中、絶縁状態にある唯杜の父が入院したことを知ります。3年間、何の連絡もしていなかった唯杜ですが、これをきっかけにあることを決意します。それは、父と向き合うこと。あの時何を考え美王を飛び出したのか、新しい道を歩いている今のこと、そんな本当の自分の気持ちを伝えること。今まで本心で向き合ったことなどなかった親子ですから、そう簡単に上手くいくわけがないけれど、少しずつでも歩み寄れたようでほっとしました。何だかんだで、唯杜のことを息子として愛してくれていたようですし。
唯杜と嘉仁もまだまだこれからです。本当の自由を得て、自分達の意志で決めて、これからもっとずっと、二人で支え合って高めあって日々過ごしていくんだろうなと。相手に対する愛情を本心で言えるのって難しくて、でも幸せですよね。唯杜と嘉仁然り、唯杜と唯杜の父然り(父の方はまだまだですが……) 穏やかなラストで良かったです。

個人的評価:★★★★☆

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この腕いっぱいの愛をキミに
2005年05月20日 (金) 19:18 | Edit
[書籍概要]
タイトル:この腕いっぱいの愛をキミに
著者:六堂葉月
イラスト:麻生海
出版社:成美堂出版(クリスタル文庫)
発売日:2005/03/01

[あらすじ]
違法な賭博対象の格闘技選手・河原の虚しいだけだった日々は、微笑みの美しい心優しい外科医・三木との出会いで急変。愛しい人に誠実でありたいと願うようになった河原は、暴力に対してトラウマを抱える三木を傷つけるのを恐れ闇の組織を抜ける決意をするが……。

[感想]
少年時代から裏社会で生きてきた河原は、物理的なものは何でも簡単に手に入れられる日々を送っていた。でも心はいつも空虚で、何故自分はリングに立っているのだろう、自分は何が欲しいのだろう、と答えの出ない自問を繰り返している。そんなある時、酔っ払って道路に寝転がっていた河原を介抱してくれた外科医の三木との出会いが、河原のこれまでの日常を一変させます。他人から初めて受けた無償の温もり……それが、河原の凍っていた心を溶かし、自分が真に欲しかったものを知り、手に入れた瞬間でもあった。
三木の優しさや温もりに触れ、一気に恋にまで落ちてしまった河原の心情が自然に受け入れられたので良かったです。まあ、ちょっと三木を神聖視(?)しすぎているきらいはあるかなあとは思うのですが、状況上そうなっても仕方ないかなあとも思います。裏社会で生きてきた河原にとって、三木は光の象徴みたいなものだろうから。ただひたすら三木を想う河原が、ちょっと可愛いです。三木も河原からの告白に応えはしないものの、満更でもない様子ですが……。三木は大の暴力嫌いで、それは過去に謂われのない暴力で父親を亡くしたことからきていて。河原は、そんな三木に嫌われたくなくて、心配させたくなくて、裏社会から抜けようと決意します。けれども、予想通りそう簡単に抜けられるほど裏社会は甘くなかった。それでも、三木の傍にいたいがために、三木に対して嘘を重ねる自分に苦しみながらも河原は必死に足掻こうとします。たとえ無駄でも、空回りしてても。とにかく河原の中には三木しかいない。三木のために、三木との未来のために……このお話は、最初から最後まで、そんな河原の一途な想いに尽きましたね。
河原が心に孤独を抱えていたように、三木もまた心にある孤独や悲しみや弱さを押し隠して気を張っていたということが解る、お互いがお互いの傷を打ち明け合い想いを通わせ合ったシーンは、すごく印象に残っています。まあ、想いが通じ合っていくらも経たないうちに二人が擦れ違ってしまったり、裏社会から抜けるための紆余曲折も多々あったりするのですが……ラストはハッピーエンドです。重傷を負いながらも、這いずってでも三木の元へ向かおうとする河原には、三木に誠実であろうとする切ないほどの感情が感じられて、かなりほろりときました。その後の病室でのシーンは、窓から差し込む日の光が白くて明るいイメージを醸し出していて、これから先の河原と三木を表しているようでほっとできました。

個人的評価:★★★★

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