空と風のうたブログ
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燕-SWALLOW-
2005年01月27日 (木) 21:28 | Edit
[書籍概要]
タイトル:燕-SWALLOW- <硝子の街にて7>
著者:柏枝真郷
イラスト:茶屋町勝呂
出版社:講談社(ホワイトハート)
発売日:2001/02/05

[あらすじ]
NYを立ち、東京に到着した伸行。待っていたのは6年も孫との再会を願っていた祖父母だった。11年間過ごした家に戻ってみると、ここもやはり“故郷”なのかと自問する自分がいた。伸行にとって、故郷とは、シドニーと幼い日々をともにしたNYしかありえないはずだったのに……。一方、ノブの突然の出奔に戸惑うシドニーも、殺人事件の解明のため、東京へ赴くことになり――。どこまでもピュアなノブとシドニーの友情と純愛のNY物語。

[感想]
前回、自分を見つめ直すために日本に帰ることを決意したノブ。そのため、今回は日本とNYに別れています。日本では勿論ノブ視点なのですが、NYではヘンリー視点で話が進みます。このヘンリー視点が新鮮でした。ヘンリーが、シドニーやノブをどういう風に見ているかなどを知ることが出来ましたし。そして、ノブが日本に帰ってしまってから様子のおかしいシドニーを心から心配しているのが良く解ります。
シドニーとヘンリーは、NYで起きた殺人事件の容疑者が日本で指名手配されていることが解って、急遽東京へ行くことになります。ホテルで、シドニーが子供の頃にノブと別れた日のことをヘンリーに語るんですが、その当時、シドニーは12歳で……見送りもできなかった自分を後悔して、芝生をむしりながら泣いて……。そんなシドニーの様子が目の前に浮かんできて、すごく哀しかったです……。
事件のことも気がかりなのですが、シドニーがノブの父親に、自分がゲイであること、ノブを愛していることを告白したシーンが1番心に残っています。何より、その時のノブの父親の反応が。「……知ってる」その一言を見た瞬間、この先の言葉がまだ解らないのに、何故か安堵したのを忘れられません。実際、その後のノブの父親の言動は肯定的なものだったので、ああさっき感じた通りだったんだなあと嬉しくなりました。ノブの父親は終始落ち着いていて、むしろシドニーの方が驚きの連続で。でも、シドニーにとっては1番の収穫だったんじゃないかなあと思います。
一方、ノブは、自分の“故郷”がNYなのか東京なのかで揺れて悩みます。NYと東京を行ったり来たりしている自分が、燕と同じように渡り鳥みたいなものなのかもしれないと。そして、悩みながらも、思い浮かぶのはシドニーのこと。シドニーは今どうしているのか……シドニーの瞳と同じ蒼い空を見たい……そんなことを何度も何度も思うんです。日本にいた時にシドニーから来た手紙を読んでいるノブが、気付かず涙を流していたノブが、切なかったです。
“故郷”のことについては、そのことに明確な答えが出るわけではないですが、私は、どちらもノブにとっての“故郷”であっても良いんじゃないか、2つの“故郷”があっても良いんじゃないか、とそう感じました。簡単に考えすぎでしょうか……。
結局、同じ東京にいたのに、会おうと思えば会えたのに、会えなかった……というより会わずにNYに帰ったシドニー。ノブとシドニーが一緒にいる場面が少なくて寂しくもありましたが……でも、ノブがNYに戻ってきた時の「お帰り」「ただいま」……というこの短い言葉が、寂しさも吹き飛ばしてくれました。戻ってきた場所に待っていてくれる人がいるって素敵なことだなあと。そういう意味では、東京で会うよりも、こちらの方が良かったんじゃないかなあと私は思いました。ともあれ、ノブにとってシドニーの存在がどれほど大きいかを再確認できました。ラストのシドニーがノブの頬にキスするシーンが優しくて好きです。
あと、あらすじの「友情と純愛の」という部分ですが、あとがきに「友情と生殺しの」という表現があって、思わず苦笑してしまいました。いやでも、本当にその通りなんですよね。シドニーにとっては、ノブが初恋で、ずっと想ってきた相手で。それこそ、ノブが生まれた時から片想いしていたといっても過言じゃないほどですし。……これからノブとシドニーの関係がどう変わっていくのかをずっと見ていたいです(そしてシドニーが報われる時を見たいです)

個人的評価:★★★★★

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