空と風のうたブログ
読書記録(BL&非BL)、ゲームの感想など。
雪花の檻に囚われ
2006年05月01日 (月) 10:25 | Edit
[書籍概要]
タイトル:雪花の檻に囚われ
著者:真崎ひかる
イラスト:あおぎり尊
出版社:イースト・プレス(アズ・ノベルズ)
発売日:2006/05/20

[あらすじ]
日露戦争の最中、ロシア貴族の娘と恋に落ちる青年将校――そんな話題の映画の主役に大抜擢された、新人俳優の貴一。だが、ロケ先の雪深いシベリアの地で貴一は遭難。目覚めると、そこは1905年、まさに映画と同じ時代で…彼は氷の美貌を持つ貴族、ミハイルに監禁されていた。貴一の身体を貪り抱くミハイル…。濃密な時が過ぎていくなか、少しずつ謎のベールは剥がれていき…。

[感想]
4月の読書記録で感想を書ければなあと言っていた「雪花の檻に囚われ」……謎に関わる部分ではできるだけネタバレしないように書いてみます。
貴一とミハイルが雪に閉ざされた屋敷の中で過ごす2人の時間の雰囲気がすごく好きなお話です。永遠に続くはずもないそんな時間が永遠に続けば良いのになあ、と思わされるお話でした。そんなシーンがもっと長く続いても良かったのにな……(それじゃあ、お話が進みませんが)
新人俳優の貴一は、ある映画の主役に抜擢され、撮影のため舞台であるロシアへ向かいます。ロシアでの滞在先へ向かう途中、車がエンストし、連れが代わりの車の手配に行く間、貴一はひとりその場に残されます。けれど、なかなか戻って来ないのを不安に思い、防寒のために役の衣装を着て雪の中を歩くことに。そして見えてきた屋敷の前で貴一は倒れてしまいます。屋敷の玄関から出てきた、プラチナブロンドの髪とアイスブルーの瞳を持つ、雪の化身のような冷たいほどに整った容姿の男の姿を目に映しながら。
ところで、貴一が演じることになった映画の主役は、日露戦争の最中にロシア貴族の娘と恋に落ちる青年将校・毅一です。彼は、雪の中倒れていたところをロシア貴族の令嬢に助けられ、匿われます。目を覚ました貴一は、自分が毅一と同じ状況に陥っていました。違うのは、自分を助けたのが貴族の令嬢ではなく貴族の男・ミハイルだったということだけ。貴一は、捕虜収容所への移送途中に脱走した日本兵として、ミハイルに匿われることになります。そして、今が、1905年……まさに日露戦争真っ最中だということを知る……。
その生い立ちから外面も内面も氷のようだったミハイルが、貴一に出会って感情を覗かせたり、貴一に執着していく様子が良かったです。とはいえ、ミハイルは出会った頃から、貴一が外に行こうとすることに敏感ではありましたね。ひとりだったミハイルの元に現れた貴一という存在が、淡々としていただろうミハイルの世界を変えてしまったんだろうなと思います。それが段々と深まっていって、ミハイルの心に貴一という存在がなてくはならなくなったんじゃないかと。一方、日露戦争中の時代にいることに混乱し、自分を抱いたミハイルに反発した貴一も、段々とミハイルとの生活を受け入れていきます。ミハイルの内情を知るにつれ、ミハイルこそこの屋敷に閉じこめられているのだと感じるようになったりもして。ミハイルって、突き放せないというか……そんな印象を抱かせる人ですしね。恋と自分の立場の間で悩んだ毅一のように、ミハイルと自分の立場の間で揺れながら、それでもミハイルと離れないことを選んだ貴一。貴一とミハイルの屋敷での生活をもっと沢山見てみたかったですね。2人で本を読むシーン、2人の会話、ミハイルの貴一への接し方や仕種、2人の間を流れる空気や雰囲気が、すごく好きだったので。お互い離れないと想い合った後の2人だけの生活が短かったから、余計にそう思います。
……閉ざされた中での心地良い2人の生活は長くは続きませんでした。今までにも何度か貴一の存在が知られそうになって、その度何とか切り抜けてきましたが、今回はそうはいかない。貴一の噂を知ったロシア帝国軍に屋敷を囲まれてしまいます。当然、ミハイルは貴一を逃がします。勿論、貴一と離れたくないミハイル自身も一緒に。貴一と共に逃げようと必死になるミハイル、自分を想ってくれるミハイルのために捕まったら脅されて匿っただけだと言えという貴一。その間にも追っ手は迫ってきて、2人は雪の中、銃で撃たれて倒れてしまう。そして……この先は、どうしてもネタバレになってしまうので書かないでおきます。
貴一は本当にタイムスリップしたのかとか、貴一が演じる毅一と名前が同じなのが本当に偶然なのかとか、他にも色々と考えつつ楽しく読めました。途中、もしかして……と思ったことがあったのですが、個人的にそれはちょっと嫌だったので、外れていてほっとしたりしました。結末や貴一に似た少年のこと等にも思うところがあるのですが、ネタバレせずに書けないので……。でも、もう一度ゆっくり読み返してみたら、また違った解釈なんかもできそうな気がします。

個人的評価:★★★★☆

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