空と風のうたブログ
読書記録(BL&非BL)、ゲームの感想など。
今宵、雲の上のキッチンで
2005年04月18日 (月) 23:31 | Edit
[書籍概要]
タイトル:今宵、雲の上のキッチンで
著者:ひちわゆか
イラスト:紺野けい子
出版社:ビブロス(ビーボーイノベルズ)
発売日:2005/04/20

[あらすじ]
小さなカフェ「ルフージュ」で働く新は、男殺しの笑顔の持ち主だが、中身はハバネロ級の毒舌家。近くに立つ高層ビルのてっぺんに住む会社社長・眞宮は、精悍で魅力的な男前なのに、好きな人には心と逆の態度を取ってしまう天下一品の天の邪鬼。そんな二人が偶然出会い、新は眞宮に正体を隠して毎日食事を届けるハメに。会えば喧嘩の意地っ張り同士だけど、顔も見えない夜のキッチンの暗闇では、何故か素直になれて……。

[感想]
出会いはお互い好印象。なのに、口を開けば印象は最悪になってしまった新と眞宮。特に、新から見た眞宮は、店を侮辱するような発言をしたりで傲慢そのものな態度にうつって……負けずに毒舌でぐっさりといきます。会う度にそんなことの繰り返しな二人ですが……でも実は、自分の失言や新の言葉の鋭さに内心冷や汗の掻き通しな眞宮が(失礼ながら)大変楽しかったです。眞宮の秘書・多岐川老人には幼い頃から教育係のような存在だったこともあり、全く頭が上がらないところも最高でした(笑)
その多岐川さん、大したキレ者なんですよね。おまけに役者で策士で(笑) 彼の依頼で、眞宮の誕生日にサプライズディナーを新が用意することになり、それがきっかけでこれからもランチを届けることになります。新が出した条件は、「料理を作っているのが自分だということは秘密にすること」。今までの眞宮の言動に腹が立っていた新は、美味しいと食べていた料理を作ったのが自分だとバラした瞬間の眞宮の反応を見たい、という復讐心から料理を作る件をOKしたのでした……。
一方、毎日届けられるランチの相手への興味が日々募っていく眞宮。全てを知っている多岐川さんに探りを入れたり(でも上手くかわされる)、自分であれこれ予想を立てたりと、何とも可愛いんですよ。そんな中、次の作戦(?)に出る多岐川さん。今度もまた多岐川さんのおかげで、一歩ずつ距離が近くなる二人です。眞宮の部屋にディナーを作りに来た新と、帰宅した眞宮が鉢合わせするという事態になります。ここから、新と眞宮の新たな交流が始まります。「名前は聞かないこと(「N」という仮名で通すことに)、顔を見ないこと、その理由も聞かないこと」を条件に、眞宮の部屋から見下ろす夜景を見せてもらうために――。
いつ、どういうふうにバレるのかなあと終始ドキドキしつつ読めました。でも、何より良かったのは、灯りを消した部屋で交わされる会話です。声でバレたらおしまいなので新は筆談ですが、それが言葉を和らげる効果にもなるし、眞宮の方も顔が見えない分、思っていることを素直に口に出せるし。静かな部屋で、弱さも脆さも隠さず本音で語り合える……ああ、何か良いなあと安堵感っていうのかな、そういうものをひしひしと感じました。新の方は隠しごとをしているわけですが、それでもぽろっと本音が出たりして、戸惑いながらも眞宮との時間を重ねていき眞宮を知っていく様子がすごく丁寧に描かれていました。新が眞宮に惹かれていく過程も自然ですし、「N」と「自分」の間で悩む姿には切なさもあったりで、かなりのめりこんでお話を追っていました。最初は復讐心からだった新の言動がだんだん変わっていくのも良かったです。そして、眞宮が、「N」との連絡手段である手紙やメールをそわそわと待っているのが見ていて微笑ましかったです。
この二人は似たもの同士というか……結構お似合いなんじゃないかなあと思います。素直になれない時には、とっておきの仲直りの仕方がありますしね。……でも1番の功労者は多岐川さんだろうなあと。多岐川さんの存在なくしては二人は上手くいかなかっただろうし。眞宮だけでなく、新も多岐川さんには弱いですから……(笑)
最初から最後まで一気に読み終えてしまった、かなりお気に入りの一冊になりました(むしろ、読み終えてしまったのが残念なくらいだったり) 意地っ張りな二人の会話を堪能させて頂きました。

個人的評価:★★★★★

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2005/04/22(金) 21:28:34 | kotonone::詞の音
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2005/05/03(火) 02:16:29 | book*review
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